問題
問1
\(0\leq x\leq\pi\)の範囲で以下の2つの曲線に囲まれた面積\(S\)を求めよ。
\begin{eqnarray}
y&=&\sin x\\
\\
y&=&\sin2x
\end{eqnarray}
【解答はこちら】
問2
2つの曲線がある。
\begin{eqnarray}
y=\frac{2}{\pi}x\\
(0\leq x\leq\frac{\pi}{2})\\
\\
y=\sin x\\
(0\leq x\leq\frac{\pi}{2})
\end{eqnarray}
この時、2つの曲線に囲まれた図形を\(x\)軸に1回転してできる立体の体積\(V\)を求めよ。
【解答はこちら】
問3
以下の様に媒介変数表示で表される関数がある。
\begin{eqnarray}
x&=&\cos2t\\
\\
y=2t+\sin2t
\end{eqnarray}
この時、(0\leq t\leq\frac{\pi}{4})の範囲の長さ\(s\)を求めよ。
【解答はこちら】
問4
以下の関数がある。
\begin{eqnarray}
y=\frac{1}{2}\left(e^x+e^{-x}\right)
(-a\leq x\leq a)
\end{eqnarray}
この時、\(a>0\)である。
この関数の長さ\(s\)を求めよ。
【解答はこちら】
問5
点\(P\)は以下の媒介変数表示に従って\(xy\)平面を運動する。
\begin{eqnarray}
x&=&e^{-t}\cos t\\
\\
y&=&e^{\sin t}\\
(0\leq t\leq a)
\end{eqnarray}
この時、\(a>0\)である。
ここで、媒介変数\(t\)は時刻の\(t\)である。
この時、
(1)
点\(P\)の速さを求めよ。
(2)
点\(P\)が時刻\(t=0\)から\(t=a\)までに通過する道のり\(f(a)\)を求めよ。
(3)
以下の極限を求めよ。
\begin{eqnarray}
\lim_{a \to \infty}f(a)
\end{eqnarray}
【解答はこちら】
解答
問1の解答 曲線の交点を境に積分する関数の符号を変える
【問題はこちら】
2つの曲線をグラフにすると図1.1になる。
この時、2つの曲線の交点の\(x\)座標は\(\frac{\pi}{3}\)である。
よって、面積\(S\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
S&=&\int_{0}^{\frac{\pi}{3}}\underbrace{\left(\sin2x-\sin x\right)}_{\sin2x>\sin x}dx+\int_{\frac{\pi}{3}}^{\pi}\underbrace{\left(\sin x-\sin2x\right)}_{\sin x>\sin2x}dx
\end{eqnarray}
まず、1項目の積分を計算する。
\begin{eqnarray}
\int_{0}^{\frac{\pi}{3}}\left(\sin2x-\sin x\right)dx&=&\left[-\frac{1}{2}\cos2x+\cos x\right]_0^{\frac{\pi}{3}}\\
\\
&=&\left(-\frac{1}{2}\left(-\frac{1}{2}\right)+\frac{1}{2}\right)-\left(-\frac{1}{2}+1\right)\\
\\
&=&\frac{1}{4}
\end{eqnarray}
次に2項目の積分を計算する。
\begin{eqnarray}
\int_{\frac{\pi}{3}}^{\pi}\left(\sin x-\sin2x\right)dx&=&\left[-\cos x+\frac{1}{2}\cos2x\right]_{\frac{\pi}{3}}^{\pi}\\
\\
&=&\left(-\left(-1\right)+\frac{1}{2}\cdot1\right)-\left(-\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\left(-\frac{1}{2}\right)\right)\\
\\
&=&\frac{9}{4}
\end{eqnarray}
よって、面積\(S\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
S=\frac{5}{2}
\end{eqnarray}
問2の解答 \(x\)軸との距離\(r\)と\(x\)軸周りの回転角\(\theta\)と\(x\)で積分する
【問題はこちら】
2つの曲線に囲まれたグラフは図2.1になる。
この時、\(x\)軸からの距離を\(r\)、\(x\)周りの回転角を\(\theta\)とする。
ここで、求める立体の微小体積を考える。
\(x\)軸の正の方向から立体を眺めると立体は図2.2のように見える。
立体の微小体積を小さな長方形と考えると、縦が\(dr\)、横が\(rd\theta\)、奥行きが\(dx\)である。
次に、それぞれの変数\(r,\theta,x\)の範囲を考える。
\(x\)の範囲は\(0\leq x\leq\frac{\pi}{2}\)である。
\(\theta\)の範囲は\(x\)軸の周りを1回転(\(2\pi\)だけ回転)するので\(0\leq \theta\leq2\pi\)である。
\(r\)の範囲は\(y=\frac{2}{\pi}x\)と\(y=\sin x\)の間であるので\(\frac{2}{\pi}x\leq r\leq\sin x\)である。
以上から求める立体の体積\(V\)の積分は以下になる。
\begin{eqnarray}
V=\int_{r=\frac{2}{\pi}x}^{r=\sin x}rdr\int_{x=0}^{x=\frac{\pi}{2}}dx\int_{\theta=2\pi}^{\theta=0}d\theta
\end{eqnarray}
ここで、積分の計算の順序は\(r\)の次に\(x\)の積分を行うことに注意する。
まず、\(r\)についての積分を行うと以下になる。
\begin{eqnarray}
\int_{r=\frac{2}{\pi}x}^{r=\sin x}rdr&=&\left[\frac{1}{2}r^2\right]_{r=\frac{2}{\pi}x}^{r=\sin x}\\
\\
&=&\frac{1}{2}\left(\sin^2x-\frac{4}{\pi^2}x^2\right)\tag{2.1}
\end{eqnarray}
次に式2.1を\(x\)について積分すると以下になる。
\begin{eqnarray}
\int_{x=0}^{x=\frac{\pi}{2}}\frac{1}{2}\left(\sin^2x-\frac{4}{\pi^2}x^2\right)dx&=&\frac{1}{2}\int_{x=0}^{x=\frac{\pi}{2}}\left(\underbrace{\frac{1}{2}-\frac{1}{2}\cos2x}_{半角の公式}-\frac{4}{\pi^2}x^2\right)dx\\
\\
&=&\frac{1}{2}\left[\frac{x}{2}-\frac{1}{4}\sin2x-\frac{4}{3\pi^2}x^3\right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}\\
\\
&=&\frac{1}{2}\left(\frac{\pi}{4}-\frac{4}{3\pi^2}\left(\frac{\pi}{2}\right)^3\right)\\
\\
&=&\frac{\pi}{24}
\end{eqnarray}
最後に\(\theta\)について積分すると体積\(V\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
V&=&\int_{0}^{2\pi\left(\frac{\pi}{24}\right)}d\theta\\
\\
&=&\frac{\pi^2}{12}
\end{eqnarray}
問3の解答 微小間での長さを媒介変数表示で表す
【問題はこちら】
一般的に関数の長さを求める時は以下の積分を用いる。
\begin{eqnarray}
\int_{B}^{A}\sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}dt
\end{eqnarray}
これは図3.1でのグラフの線の微小線を\(\sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}dt\)で表している。
次に\(\frac{dx}{dt},\frac{dy}{dt}\)を求める。
\begin{eqnarray}
\frac{dx}{dt}&=&-2\sin2t\\
\\
\frac{dy}{dt}&=&2+2\cos2t
\end{eqnarray}
よって、長さ\(s\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
s&=&\int_{t=0}^{t=\frac{\pi}{4}}\sqrt{\left(-2\sin2t\right)^2+\left(2+2\cos2t\right)^2}dt\\
\\
&=&\int_{t=0}^{t=\frac{\pi}{4}}\sqrt{4\sin^22t+4+8\cos2t+4\cos2t}dt\\
\\
&=&2\sqrt{2}\int_{t=0}^{t=\frac{\pi}{4}}\sqrt{1+\cos2t}dt\\
\\
&=&4\sqrt{2}\int_{t=0}^{t=\frac{\pi}{4}}\underbrace{\cos t}_{半角の公式}dt\\
\\
&=&4\left[\sin t\right]_0^{\frac{\pi}{4}}\\
\\
&=&2\sqrt{2}
\end{eqnarray}
問4の解答 媒介変数表示の線積分から\(x,y\)の線積分への変形
【問題はこちら】
問3では媒介変数表示での線積分の計算をした。
問4では\(x,y\)での線積分の計算をする。
線積分の積分は以下でも計算することができる。
\begin{eqnarray}
\int_{A}^{B}\sqrt{1+\left(\frac{dy}{dx}\right)^2}dx
\end{eqnarray}
よって、\(\frac{dy}{dx}\)を求めて積分をする。
\(\frac{dy}{dx}\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
\frac{dy}{dx}&=&\frac{1}{2}\left(e^x-e{-x}\right)
\end{eqnarray}
よって、長さ\(s\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
s&=&\int_{-a}^{a}\sqrt{1+\left(\frac{1}{2}\left(e^x-e^{-x}\right)\right)^2}dx\\
\\
&=&\int_{-a}^{a}\sqrt{\frac{e^{2x}+2+e^{-2x}}{4}}dx\\
\\
&=&\int_{-a}^{a}\sqrt{\frac{\left(e^x+e^{-x}\right)^2}{4}}dx\\
\\
&=&\frac{1}{2}\int_{-a}^{a}\left(e^x+e^{-x}\right)dx\\
\\
&=&\frac{1}{2}\left[e^x-e^{-x}\right]_{-a}^{a}\\
\\
&=&\frac{1}{2}\left(\left(e^a-e^{-a}\right)-\left(e^{-a}-e^a\right)\right)\\
\\
&=&e^a-e^{-a}
\end{eqnarray}
問5の解答 媒介変数から速さを求めて、その\(速さ✕時刻\)の積分が道のり\(f(a)\)となる
【問題はこちら】
(1)
点\(P\)は\(xy\)平面を運動するので\(x\)方向の速度と\(y\)方向の速度が存在する。
そして点\(P\)の速さ\(V\)は\(x\)方向の速度\(\frac{dx}{dt}\)と\(y\)方向の速度\(\frac{dy}{dt}\)から以下になる。
\begin{eqnarray}
V=\sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}
\end{eqnarray}
次に、\(\frac{dx}{dt},\frac{dy}{dt}\)を求める。
\begin{eqnarray}
\frac{dx}{dt}&=&e^{-t}\left(-\sin t\right)-e^{-t}\cos t\\
\\
&=&-e^{-t}\left(\cos t+\sin t\right)
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
\frac{dy}{dt}&=&e^{-t}\cos t-e^{-t}\sin t\\
\\
&=&e^{-t}\left(\cos t-\sin t\right)
\end{eqnarray}
よって、速さ\(V\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
V&=&\sqrt{\left(-e^{-t}\left(\cos t+\sin t\right)\right)^2+\left(e^{-t}\left(\cos t-\sin t\right)\right)^2}\\
\\
&=&\sqrt{e^{-2t}\cdot2}\\
\\
&=&\sqrt{2}e^{-t}
\end{eqnarray}
(2)
点\(P\)が時間\(dt\)の間に進む道のりは\(Vdt\)である。
この道のりを時間\(t=0\)から\(t=a\)まで積分すると以下になる。
\begin{eqnarray}
f(a)&=&\int_{0}^{a}Vdt\\
\\
&=&\int_{0}^{a}\sqrt{2}e^{-t}dt\\
\\
&=&\sqrt{2}\left[-e^{-t}\right]_0^a\\
\\
&=&\sqrt{2}\left(1-e^{-a}\right)
\end{eqnarray}
(3)
極限は以下になる。
\begin{eqnarray}
\lim_{a \to \infty}f(a)&=&\lim_{a \to \infty}\left(\sqrt{2}\left(1-e^{-a}\right)\right)\\
\\
&=&\sqrt{2}
\end{eqnarray}