数学A

確率とは 様々な確率を求める

確率の求め方

確率の求め方を知る前に知っておくべき用語について説明する。

試行
同じ状態のもとで何回も繰り返す事ができ、その結果が偶然によって決まる実験や観測の事
例)サイコロなど

事象
試行の結果として起こる事柄。

同様に確からしい
ある試行においてどの事象が起こることも同じ程度に期待できる時これらの事象は同様に確からしいと言う。

これらの3つの用語を踏まえた上で確率の求め方を説明する。
確率の求める式は以下である。
$$ある事象Aが起こる確率=\frac{事象Aが起こる場合の数}{起こりうる全ての場合の数}$$
例を用いて説明する。

例1)
2つのサイコロを振った時の目の数の和が3になる確率を考える。

まず2つのサイコロを振った時に起こりうる全ての場合の数を考える。
それぞれ1個ずつのサイコロが起こりうる目の場合の数は6である。
また、2つのサイコロを振る時はサイコロの目の数が同時に出るので積の法則を使い、全ての起こりうる場合の数は以下になる。
$$6×6=36通り$$

次にサイコロの目の数の和が3になる場合の数を考える。
サイコロの目の数の和が3になる組み合わせは以下の2つである。
$$(1,2)(2,1)$$
よって、サイコロの目の数の和が3になる場合の数は2通りである。

以上のことから2つのサイコロを振った時の目の数の和が3になる確率P(A)は以下になる。
$$P(A)=\frac{2}{36}=\frac{1}{18}$$

この様にある事象が起きる確率を求める事ができる。

積事象、和事象、排反事象

積事象

積事象とは2つ以上の事象A,Bが共に起こる事象のことである。
書き方は以下の様に表す。
$$A\cap B$$
例2)
以下のような図で事象A,Bがあるとする。
この時の事象A,Bの積事象は青色の場所となり4,6になる。

和事象

和事象とは2つ以上の事象A,Bどちらかが起こる事象のことである。
書き方は以下の様に表す。
$$A\cup B$$
例3)
以下のような図2で事象A,Bがあるとする。
この時の事象A,Bの和事象は青色の場所となり2,4,5,6となる。

排反事象

排反事象とは2つ以上の事象A,Bが同時に起こらない時の事象の事を言う。
例4)
以下のような図3で事象A,Bがあるとする。
2つの事象A,Bは重ならないので同時に起こることは無い。

確率の加法定理

2つの事象が排反である時

2つの事象A,Bが排反である時は2つの事象A,Bの和事象の確率とそれぞれの事象A,Bの確率の間に以下の関係が成り立つ。
$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)$$

2つの事象が排反出ない時

2つの事象A,Bが排反で無い時は2つの事象A,Bの和事象の確率とそれぞれの事象A,Bの確率の間に以下の関係が成り立つ。
$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)$$

余事象

余事象とはある事象Aに対してAが起こらないという事象の事を言う。
余事象は以下の様に表せる。
$$\overline{A}$$
図で表すと以下の青色の部分になる。

2つ以上の独立な試行の確率

2つ以上の試行T1,T2が互いに独立しているとする。
この時、T1で事象Aが起きてT2で事象Bが起きる時の確率は以下の式で求められる。
$$P(A)×P(B)$$

例5)
1枚のコインと1個のサイコロを振る時コインは裏が出てサイコロは2以下の目が出る確率を考える。
コインの裏表が出ることとサイコロの目が出ることは互いに影響しないので独立していると言える。
次にコインも裏が出る確率P(A)は以下である。
$$P(A)=\frac{1}{2}$$
また、サイコロの目が2以下になる確率P(B)は以下である。
$$P(B)=\frac{1}{3}$$
よって1枚のコインと1個のサイコロを振る時コインは裏が出てサイコロは2以下の目が出る確率は以下のように計算できる。
$$P(A)×P(B)=\frac{1}{2}\frac{1}{3}=\frac{1}{6}$$
このように独立した試行の場合の確率を計算できる。

反復試行の確率

同じ条件の元で同じ試行を繰り返し行うことを反復試行と言う。
例えばサイコロを連続で5回振るなどである。
この反復試行においてn回繰り返す時、ある事象Aがr回起こる確率を計算する式は以下の様に計算できる。
$${}_n C _rp^r(1-p)^(n-r)$$

例6)
1個のサイコロを5回連続で振った時、3以上の目がちょうど2回出る確率を考える。

まずサイコロを振って3以上の目が出る確率は以下である。
$$\frac{2}{3}$$
つまり、サイコロを振って3以上の目が出ない確率は以下である。
$$\frac{1}{3}$$
ここでサイコロの目が3以上になるのがサイコロを振った何回目かを考える。
サイコロの目が2回出る時の組み合わせは以下の表で表す。
表を見ると10通りの組み合わせがあることが分かる。
この10通りという組み合わせは以下の様に計算できる。
$${}_5 C _2=10通り$$
またサイコロを何回目に振ろうがそれぞれの試行は独立しているので、10通りそれぞれが起こる確率は以下で計算できる。
$$\frac{2}{3}^2\frac{1}{3}^3$$
よって1個のサイコロを5回連続で振った時、3以上の目がちょうど2回出る確率は以下である。
$${}_5 C _2\frac{2}{3}^2\frac{1}{3}^3=10×\frac{4}{9}\frac{1}{27}=\frac{40}{243}$$
このように反復試行の確率を計算できる。