数学B

数列とその解法

等差数列

等差数列とは数列\(a_n{}\)において以下のように隣り合う数列に公差\(d\)を足していく数列である。
\begin{eqnarray}
a_1\xrightarrow[+d]{}a_2\xrightarrow[+d]{}a_3\xrightarrow[+d]{}a_4\cdots
\end{eqnarray}

一般項

等差数列\({a_n}\)の一般項は以下の様になる。
\begin{eqnarray}
a_n=a_1+\left(n-1\right)d\\
\\
(初項a_1,公差d)
\end{eqnarray}

和の公式

等差数列\({a_n}\)において初項\(a_1\)から第n項\(a_n\)までの数列の和は以下のような公式で計算できる。
\begin{eqnarray}
S_n&=&\frac{n}{2}\left(a_1+a_n\right)\\
\\
&=&\frac{n}{2}\left(2a_1+\left(n-1\right)d\right)
\end{eqnarray}

この等差数列の和の公式を考える。
まず、普通に考えると数列の和\(S_n\)は以下のように書ける。
\begin{eqnarray}
S_n=a_1+a_2+\cdots+a_{n-2}+a_n
\end{eqnarray}
ここで、更に\(S_n\)を足してみる。
\begin{eqnarray}
S_n&=&a_1+a_2+\cdots+a_{n-2}+a_n\\
\\
S_n&=&a_n+a_{n-1}+\cdots+a_2+a_1
\end{eqnarray}
ここで、\(a_{n-1}=a_1+\left(n-2\right)d,a_2=a_1+d\)とすると以上の\(S_n\)の足し合わせは以下の様になる。
\begin{eqnarray}
2S_n&=&\underbrace{\left(a_1+a_n\right)+\left(a_1+a_n\right)+\cdots+\left(a_1+a_n\right)}_{n個}\\
\\
&=&n\left(a_1+a_n\right)
\end{eqnarray}
ここで、\(a_1+a_n\)はn個あるので以上の様に書くことができる。
よって、数列の和\(S_n\)は以下の様になる。
\begin{eqnarray}
S_n=\frac{n}{2}\left(a_1+a_n\right)
\end{eqnarray}
よって、和の公式の1つ目を証明することができた。

次に求めた和の公式に\(a_n=a_1+\left(n-1\right)d\)を代入すると以下の様になる。
\begin{eqnarray}
S_n=\frac{n}{2}\left(2a_1+\left(n-1\right)d\right)
\end{eqnarray}
よって、和の公式の2つ目も証明することができた。

等比数列

等比数列とは以下のように隣り合う数列に公比rをかけた数列である。
\begin{eqnarray}
a_1\xrightarrow[×r]{}a_2\xrightarrow[×r]{}a_3\xrightarrow[×r]{}a_4\cdots
\end{eqnarray}

一般項

等比数列\({a_n}\)の一般項は以下の様になる。
\begin{eqnarray}
a_n=a_1r^{n-1}\\
\\
(初項a_1,公比r)
\end{eqnarray}

和の公式

等比数列\({a_n}\)の初項\(a_1\)から第n項までの和の公式\(S_n\)は以下のように計算できる。
\begin{eqnarray}
S_n=\frac{a_1\left(1-r^n\right)}{1-r}
\end{eqnarray}
この等比数列の和の公式について考える。

まず、和をそのまま書くと以下のように書ける。
\begin{eqnarray}
S_n&=&a_1+a_2+\cdots+a_{n-1}+a_n\\
\\
&=&a_1+a_1r+\cdots+a_1r^{n-2}+a_1r^{n-1}
\end{eqnarray}
ここで、全ての数列を初項\(a_1\)を使って表した。
更に数列の和に公比rをかけた\(rS_n\)を考える。
\begin{eqnarray}
rS_n&=&a_1r+a_1r^2+\cdots+a_1r^{n-1}+a_1r^n
\end{eqnarray}
ここで、\(S_n-rS_n\)を計算すると以下の様になる。
\begin{eqnarray}
S_n&=&a_1+a_1r+\cdots+a_1r^{n-2}+a_1r^{n-1}\\
\\
-rS_n&=&\quad\quad -a_1r-a_1r^2-\cdots-a_1r^{n-1}-a_1r^n\\
↓\\
\left(1-r\right)S_n&=&a_1-a_1r^n
\end{eqnarray}
よって、左辺の\(1-r\)を右辺に持ってくると和の\(S_n\)を求めることができる。
\begin{eqnarray}
S_n=\frac{a_1\left(1-r^n\right)}{1-r}
\end{eqnarray}

等差数列と等比数列の練習問題はこちら

漸化式

漸化式とは以下の式のように数列\({a_n}\)のおいてn番目の数列とn+1番目(もしくはn+2番目)の数列の関係式である。
\begin{eqnarray}
a_{n+1}+\alpha a_n+\beta=0\\
(\alpha,\betaはnに依らない定数)
\end{eqnarray}

漸化式の解法

漸化式の解法の一つとして以下の方法がある。

①\(a_{n+1}-c=p\left(a_n-c\right)\)の形に漸化式を式変形する。
②\(b_n=a_n-c\)とする新しい数列\({b_n}\)を考える。
③\(b_n\)は公比\(p\)の等比数列となる。
④\(b_n\)の一般項を求めてから\(a_n\)を求める。

数学的帰納法

数学的帰納法とは証明方法の一つである。
一つの数nに対してある事象が成り立つことを証明する場合に使う。
数学的帰納法において示すことは以下の2つである。

  • ①n=1の場合(最初の状態)に事象が成り立つことを示す
  • ②任意のkにおいてn=kでは事象が成立すると仮定した時、n=k+1において事象が成立することを示す
  • まず、①を示す。
    次にn=kにおいて事象が成立すると仮定したことを使ってn=k+1でも成立することを示す。
    すると、k=1の時、①によって事象はn=1の時成立することが分かっている。
    更に②によってn=2の時も成立することが分かる。
    ここでk=2を考えると②によってn=2が事象を成立するのでn=3の時も事象は成立することが分かる。
    \begin{eqnarray}
    \underbrace{n=1}_{①によって成立}\xrightarrow[k=1の時k+1を考える]{}\underbrace{n=2}_{②によって成立}\xrightarrow[k=2の時k+1を考える]{}\cdots
    \end{eqnarray}
    この様に\(k=3,4,\cdots\)と繰り返し考えることで全てのnにおいて事象が成立することが分かる。
    この様に事象が全てのnにおいて成立することを証明することが数学的帰納法である。

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