本記事では、離心率と直線から二次曲線(二次関数、楕円関数、双曲線関数)を求める方法について説明する。
また、求めた二次曲線から定点という考え方から二次曲線を考える方法も紹介する。
計算過程はとても複雑であるので、確認したい人は見ることができるようにしてある。
だが、最初は自らの手で計算をしてもらうと力になるだろう。
離心率とは
まず、最初に離心率について説明する。
図1を見てもらう。
今、\(y\)軸上に点\(T(0,q)\)があり、\(y=l\)という直線が存在する。
ここで、\(xy\)平面上の任意の点\(x,y\)について以下の等式が成立する場合を考える。
\begin{eqnarray}
\frac{\sqrt{x^2+\left(y-q\right)^2}}{q-l}=e\tag{1.1}
\end{eqnarray}
この時、\(e\)の値の範囲によって等式を満たす\((x,y)\)が表す関数の概形が変わる。
この\(e\)を離心率と呼ぶ。
離心率\(e\)による\(x,y\)が表す関数の概形の関係は以下になる。
\begin{eqnarray}
0< e <1&& 楕円関数\\
\\
e=1&& 二次関数\\
\\
1< e&& 双曲線関数
\end{eqnarray}
次章ではそれぞれの離心率について式1.1を解いて、関数を求めていく。
離心率を用いた二次曲線の求め方
二次関数 \(e=1\)
まずは、離心率\(e=1\)の時を考える。
すると、式1.1は以下のようになる。
\begin{eqnarray}
\frac{\sqrt{x^2+\left(y-q\right)^2}}{q-l}=1
\end{eqnarray}
この両辺を二乗して整理すると以下の様になる。
\begin{eqnarray}
y=\frac{x^2}{2\left(q-l\right)}+\frac{q+l}{2}
\end{eqnarray}
これは\(y=ax^2+b\)の形をしているので二次関数であることが分かる。
(計算過程は省略したので詳しく確認したい方は下のボタンをクリック)
x^2+\left(y-q\right)^2&=&\left(y-l\right)^2\\
\\
x^2-2qy+q^2&=&-2ly+l^2\\
\\
2y\left(q-l\right)&=&x^2+q^2-l^2\\
&=&x^2+\left(q+l\right)\left(q-l\right)\\
\\
y&=&\frac{x^2}{2\left(q-l\right)}+\frac{q+l}{2}
\end{eqnarray}
楕円関数 \(0< e<1\)
次に離心率が\(0< e<1\)である場合を考える。
すると、式1.1を二乗して\(x\)軸に対称であるとして、整理すると以下になる。
\begin{eqnarray}
\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\\
\\
a^2=e^2l^2\left(1-e^2\right)\\
b^2=e^2l^2
\end{eqnarray}
これは楕円関数である。
楕円関数であることは次章で説明する。
(計算過程は省略したので詳しく確認したい方は下のボタンをクリック)
&&x^2+\left(y-q\right)^2=e^2\left(y-l\right)\\
\\
&&x^2+\left(1-e^2\right)y^2+2y\left(e^2l-q\right)+q^2-e^2l^2=0\\
\\
&&x^2+\left(1-e^2\right)\left(y+\frac{e^2l-q}{1-e^2}\right)^2\underbrace{-\frac{\left(e^2l-q\right)^2}{1-e^2}+q^2-e^2l^2}_{①}=0\\
\end{eqnarray}
ここで、①部分を計算する。
\begin{eqnarray}
-\frac{\left(e^{2}l-q\right)^2}{1-e^{2}}+q^{2}-e^{2}l^{2}&=&\frac{-e^{4}l^{2}+2e^{2}lq-q^{2}+q^{2}-e^{2}l^{2}-e^{2}q^{2}+e^{4}l^{2}}{1-e^{2}}\\
\\
&=&\frac{2e^{2}lq-e^{2}l^{2}-e^{2}q^{2}}{1-e^2}\\
\\
&=&-\frac{e^{2}\left(l-q\right)^{2}}{1-e^{2}}
\end{eqnarray}
よって、元の式は以下になる。
\begin{eqnarray}
x^2+\left(1-e^2\right)\underbrace{\left(y+\frac{e^2l-q}{1-e^2}\right)^2}_{②}=\frac{e^2\left(l-q\right)^2}{1-e^2}
\end{eqnarray}
ここで、②に注目すると\((x,y)\)からなる関数は、ある関数を\(y\)軸方向に\(-\frac{e^2l-q}{1-e^2}\)だけ平行移動させた関数だと分かる。
分かりやすくするために、平行移動を考えずに計算を進めたいので以下の\(q\)を考える。
\begin{eqnarray}
\frac{e^2l-q}{1-e^2}=0\\
\\
q=e^2l
\end{eqnarray}
すると、元の式は以下になり、楕円関数の方程式になる。
\begin{eqnarray}
x^2+\left(1-e^2\right)y^2=e^2l^2\left(1-e^2\right)\\
\\
\frac{x^2}{e^2l^2\left(1-e^2\right)}+\frac{y^2}{e^2l^2}=1
\end{eqnarray}
双曲線関数 \(1< e\)
最後に離心率が\(1< e\)の場合を考える。
これは、楕円関数の方程式から考えると以下になる。
\begin{eqnarray}
&&-\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\\
\\
&&a^2=e^2l^2\left(e^2-1\right)\\
&&b^2=e^2l^2
\end{eqnarray}
これは双曲線関数である。
関数の概形については次章で説明する。
(計算過程は省略したので詳しく確認したい方は下のボタンをクリック)
\begin{eqnarray}
\frac{x^2}{e^2l^2\left(1-e^2\right)}+\frac{y^2}{e^2l^2}=1
\end{eqnarray}
ここで、\(1< e\)であるので\(1-e^2<0\)となる。
よって、マイナスを取り出すと以下のように双曲線関数になる。
\begin{eqnarray}
-\frac{x^2}{e^2l^2\left(e^2-1\right)}+y^2=1
\end{eqnarray}
二次曲線の概形の確認
本章では前章で求めた楕円関数と双曲線関数が本当にそれらの関数なのかを調べる。
楕円関数に関しては、\(x\)軸方向に\(a\)倍、\(y\)軸方向に\(b\)倍する行列を円の方程式に作用させて楕円関数であるを求めることで楕円関数であることを確認する。
双曲線関数は二次微分までを求めて、関数の概形を調べる。
楕円関数 行列を用いて円からの拡張
まず、\(x\)軸方向に\(a\)倍、\(y\)軸方向に\(b\)倍する行列を考える。
まず、以下の任意の二次行列\(A\)を考える。
\begin{eqnarray}
A=\left(\begin{array}{ccc}
a_{11}&a_{12}\\
a_{21}&a_{22}
\end{array}\right)
\end{eqnarray}
ここで、行列\(A\)は\(x\)方向の単位ベクトル\(\left(\begin{array}{c}1\\0\end{array}\right)\)の\(x\)成分だけを\(a\)倍させる行列と考えると以下の等式を満たす。
\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc}
a_{11}&a_{12}\\
a_{21}&a_{22}
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
1\\
0
\end{array}\right)
&=&
\left(\begin{array}{c}
a\\
0
\end{array}\right)\\
\\
a_{11}=a&&\\
a_{21}=0&&
\end{eqnarray}
次に行列\(A\)は\(y\)方向の単位ベクトル\(\left(\begin{array}{c}0\\1\end{array}\right)\)の\(y\)成分だけを\(b\)倍させる行列と考えると以下の等式を満たす。
\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc}
a&a_{12}\\
0&a_{22}
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
0\\
1
\end{array}\right)
&=&
\left(\begin{array}{c}
0\\
b
\end{array}\right)\\
\\
a_{12}=0&&\\
a_{22}=b&&
\end{eqnarray}
よって、\(x\)方向に\(a\)倍して\(y\)方向に\(b\)倍する行列\(A\)は以下になる。
\begin{eqnarray}
A=\left(\begin{array}{ccc}
a&0\\
0&b
\end{array}\right)
\end{eqnarray}
次に単位円に行列\(A\)を作用させる。
この時、\(a≠b\)であるならば、行列\(A\)を作用させた後のベクトルは\(x\)軸方向に\(a\)だけ伸びて、\(y\)軸方向に\(b\)だけ伸びた楕円であることが分かる。
この単位円を極座標表示したベクトル\(\left(\begin{array}{c}\cos\theta\\\sin\theta\end{array}\right)\)に行列\(A\)作用させると以下になる。
\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc}
a&0\\
0&b
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
\cos\theta\\
\sin\theta
\end{array}\right)
=
\left(\begin{array}{c}
a\cos\theta\\
b\sin\theta
\end{array}\right)
\end{eqnarray}
つまり、\(\left(\begin{array}{c}x\\y\end{array}\right)=\left(\begin{array}{c}a\cos\theta\\b\sin\theta\end{array}\right)\)となる。
ここで、極座標表示から直交座標表示に変換する。
そのために、三角関数の関係\(\cos^2\theta+\sin^2\theta=1\)を用いると以下を満たす。
\begin{eqnarray}
\cos^2\theta+\sin^2\theta&=&\left(\frac{x}{a}\right)^2+\left(\frac{y}{b}\right)^2\\
\\
&=&1
\end{eqnarray}
これは、前章で求めた離心率が\(0<e<1\)の場合の関数である。
よって、離心率が\(0<e<1\)の場合は楕円関数になることが分かる。
双曲線関数 微分から関数の概形を確認
次に双曲線関数の概形について調べる。
まず、前章で求めた双曲線関数の形を\(y=\cdots\)の形に直すと以下になる。
\begin{eqnarray}
y=\pm b\sqrt{1+\frac{x^2}{a^2}}
\end{eqnarray}
この\(y(x)\)の関数を\(x\)について微分すると以下になる。
\begin{eqnarray}
\frac{dy}{dx}&=&\pm b\frac{1}{2}\left(1+\frac{x^2}{a^2}\right)^{-\frac{1}{2}}\cdot\frac{2x}{a^2}\\
\\
&=& \left\{ \begin{array}{l}
\pm \frac{b}{a^2}\left(\frac{1}{x^2}+\frac{1}{a^2}\right)^{-\frac{1}{2}}&x>0\\
\mp \frac{b}{a^2}\left(\frac{1}{x^2}+\frac{1}{a^2}\right)^{-\frac{1}{2}}&x<0
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
更に、二次微分を計算する。
\begin{eqnarray}
x>0の場合\\
\frac{d^2y}{dx^2}&=&\pm \frac{b}{a^2}\left(-\frac{1}{2}\right)\left(\frac{1}{x^2}+\frac{1}{a^2}\right)^{-\frac{3}{2}}\cdot\left(-2\right)\frac{1}{x^3}\\
\\
&=&\pm \frac{b}{a^2}\left(\frac{1}{x^2}+\frac{1}{a^2}\right)^{-\frac{3}{2}}\frac{1}{x^3}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
x<0の場合\\
\frac{d^2y}{dx^2}&=&\mp \frac{b}{a^2}\left(\frac{1}{x^2}+\frac{1}{a^2}\right)^{-\frac{3}{2}}\frac{1}{x^3}\\
\\
&=&\pm \frac{b}{a^2}\left(\frac{1}{x^2}+\frac{1}{a^2}\right)^{-\frac{3}{2}}|\frac{1}{x^3}|
\end{eqnarray}
よって、二次微分は\(x\)の範囲によって符号は変わらないことが分かる。
また、一次微分の極限を考えると以下になる。
\begin{eqnarray}
\lim_{x \to \pm\infty}\frac{dy}{dx}=
\left\{ \begin{array}{l}
\pm \frac{a}{b}&x \to +\infty\\
\mp \frac{a}{b}&x \to -\infty
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
これらの事から、離心率が\(1<e\)の時の関数は以下の特徴を持っていることが分かる。
- \(y>0\)では下に凸であり、\(x\to\pm\infty\)で\(y=\pm\frac{a}{b}\)の関数に漸近する。
- \(y<0\)では上に凸であり、\(x\to\pm\infty\)で\(y=\mp\frac{a}{b}\)の関数に漸近する。
これらの特徴を持つ関数を双曲線関数と呼ぶ。
定点から考える二次曲線
最後に定点からの距離を用いて楕円関数と双曲線関数を考える方法を説明する。
まず、最初に\(y\)軸上の2つの定点\((0,c),(0,-c)\)があるとする。
ここで、任意の点\((x,y)\)と2つの定点の距離はそれぞれ以下になる。
\begin{eqnarray}
\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}\\
\\
\sqrt{x^2+\left(y+c\right)^2}
\end{eqnarray}
この2つの距離の和が一定の場合、また2つの距離の差が一定の場合に描く点\((x,y)\)の関係を考える。
楕円関数 距離の和が一定
まずは、2つの距離の和が一定の場合を考える。
つまり、以下の関係式を考える。
\begin{eqnarray}
\sqrt{x^2+\left(y+c\right)^2}+&&\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}=A\\
\\
&&A:定数
\end{eqnarray}
ここで、\((x,y)\)が\((0,b)\)となる場合を考える。
すると、以下の関係式を満たす。
\begin{eqnarray}
\sqrt{\left(b+c\right)^2}+\sqrt{\left(b-c\right)^2}=A\\
\\
2b=A
\end{eqnarray}
次に\((x,y)\)が\((a,0)\)となる場合を考えると、以下の関係式を満たす。
\begin{eqnarray}
\sqrt{a^2+c^2}+\sqrt{a^2+c^2}=2b\\
\\
\sqrt{a^2+c^2}=b
\end{eqnarray}
よって、元の式は以下になる。
\begin{eqnarray}
\sqrt{x^2+\left(y+c\right)^2}+&&\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}=2b
\end{eqnarray}
この等式を整理すると以下の等式を満たす。
\begin{eqnarray}
\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\\
\end{eqnarray}
これは楕円の方程式に他ならない。
この事から、楕円関数は2つの定点からの距離の和が一定であるという特徴を持っていることが分かる。
(計算過程は省略したので詳しく確認したい方は下のボタンをクリック)
\sqrt{x^2+\left(y+c\right)^2}+&&\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}=2b
\end{eqnarray}
左辺の第二項を右辺に移項して両辺を二乗する。
\begin{eqnarray}
&&x^2+\left(y+c\right)^2=4b^2-4b\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}+x^2+\left(y-c\right)^2\\
\\
&&4cy-4b^2=-4b\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}\\
\\
&&cy-b^2=-b\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}
\end{eqnarray}
ここで、更に両辺を二乗する。
\begin{eqnarray}
&&\left(cy-b^2\right)^2=x^2+\left(y-c\right)^2\\
\\
&&c^2y^2-2cb^2y+b^4=b^2x^2+b^2y^2-2cb^2y+b^2c^2\\
\\
b^2x^2+\left(b^2-c^2\right)y^2=b^2\left(b^2-c^2\right)
\end{eqnarray}
ここで\(\sqrt{a^2+c^2}=b\)の関係式から\(b^2-c^2=a^2\)が成立するので、この結果を代入する。
\begin{eqnarray}
b^2x^2+a^2y^2=a^2b^2
\end{eqnarray}
この両辺を\(a^2b^2\)で割ると楕円の方程式を求めることができる。
\begin{eqnarray}
\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1
\end{eqnarray}
双曲線関数 距離の差が一定
次に、2つの距離の差が一定である場合を考える。
つまり、以下の等式が成立することを考える。
\begin{eqnarray}
\sqrt{x^2+\left(y+c\right)^2}&&-\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}=B\\
\\
&&B:定数
\end{eqnarray}
ここで、\((x,y)\)が\((0,b)\)の時を考えると以下の関係式を満たす。
\begin{eqnarray}
\sqrt{\left(b+c\right)^2}-\sqrt{\left(b-c\right)^2}=B\\
\\
B= \left\{ \begin{array}{l}
2c&(b>c)\\
2b&(b<c)
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
よって、元の式は以下になる。
\begin{eqnarray}
\sqrt{x^2+\left(y+c\right)^2}-&&\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}=2c\\
&&(b>c)\\
\\
\sqrt{x^2+\left(y+c\right)^2}-&&\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}=2b\\
&&(b<c)
\end{eqnarray}
ここで、\(b<c\)を考えると双曲線関数になることが分かる。
\begin{eqnarray}
-\frac{x^2}{a^2}+&&\frac{y^2}{b^2}=1\\
\\
&&c^2-b^2=a^2
\end{eqnarray}
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左辺の第二項を右辺に移項して両辺を二乗する。
\begin{eqnarray}
&&x^2+\left(y+c\right)^2=4c^2+4c\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}+x^2+\left(y-c\right)^2\\
\\
&&4cy-4c^2=4c\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}\\
\\
&&y-c=\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}\\
\end{eqnarray}
ここで更に両辺を二乗する。
\begin{eqnarray}
\left(y-c\right)^2=x^2+\left(y-c\right)^2\\
\\
x=0
\end{eqnarray}
この結果は\((x,y)=(0,b)\)しか取らないことを表している。
よって、\(b>c\)の場合は1点\((0,b)\)しか取らない。
次に\(b<c\)の場合を考える。
先ほどと同じように左辺の第二項を右辺に移項して両辺を二乗する。
\begin{eqnarray}
&&x^2+\left(y+c\right)^2=4b^2+4b\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}+x^2+\left(y-c\right)^2\\
\\
&&4cy-4b^2=4b\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}\\
\\
&&cy-b^2=b\sqrt{x^2+\left(y-c\right)^2}
\end{eqnarray}
ここで、更に両辺を二乗する。
\begin{eqnarray}
&&\left(cy-b^2\right)^2=b^2x^2+b^2\left(y-c\right)^2\\
\\
&&b^2x^2+\left(b^2-c^2\right)y^2=b^2\left(b^2-c^2\right)
\end{eqnarray}
ここで、\(b^2-c^2<0\)なので、以下のように符号を書き換える。
\begin{eqnarray}
-b^2x^2+\left(c^2-b^2\right)y^2=b^2\left(c^2-b^2\right)
\end{eqnarray}
ここで、\(a^2=c^2-b^2\)と置き、両辺を\(a^2b^2\)で割ると、双曲線関数の方程式になる。
\begin{eqnarray}
-\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1
\end{eqnarray}
楕円関数の極座標表示
最後に、楕円関数との極座標表示について説明する。
楕円関数は円を拡張した関数なので、極座標表示をしやすい。
また、楕円の半径は角度\(\theta\)によって変わる、つまり半径\(r\)は\(\theta\)の関数であることが分かる。
だが、ここで注意することはどの点を原点と取るかである。
楕円の中心を原点と取るか、それぞれの定点の一つを原点と取るかで極座標表示の方法が変わる。
それぞれの極座標表示について説明する。
原点を中心
原点を中心とした場合、原点から楕円上の点までの距離を\(r\)、\(x\)軸から\(r\)までのなす角度を\(\theta\)とする。
すると、楕円上の点\((x,y)\)は\(r,\theta\)を用いて以下のように表せる。
\begin{eqnarray}
x=r\cos\theta\\
\\
y=r\sin\theta
\end{eqnarray}
これらの\(x,y\)を直交座標で表した楕円の方程式に代入すると\(r\)は\(\theta\)を用いて以下のように表せる。
\begin{eqnarray}
&&\frac{r^2\cos^2\theta}{a^2}+\frac{r^2\sin^2\theta}{b^2}=1\\
\\
&&r^2\left(b^2\cos^2\theta+a^2\sin^2\theta\right)=a^2b^2\\
\\
&&r=\frac{ab}{\sqrt{b^2\cos^2\theta+a^2\sin^2\theta}}
\end{eqnarray}
また、\(a,b\)を離心率\(e\)で表すと以下のようにも表せる。
\begin{eqnarray}
r&=&\frac{el\sqrt{1-e^2}}{\sqrt{1-e^2\cos^2\theta}}\\
\\
&&但し、\\
&&a^2=e^2l^2\\
&&b^2=e^2l^2\left(1-e^2\right)\\
\end{eqnarray}
定点\((c,0)\)を中心
次に、定点を原点とした極座標表示をする。
ここでは、定点\((c,0),(-c,0)\)から楕円上の点\((x,y)\)までの距離をそれぞれ\(r,r’\)、\(x\)軸から\(r\)までのなす角度を\(\theta\)とする。
すると、2つの定点から楕円上の点までの距離の和が等しいという特徴から以下の等式が成立する。
\begin{eqnarray}
r+r’=2a
\end{eqnarray}
また、\(r,r’,2c\)から成る三角形に注目して余弦定理を用いると以下の等式が成立する。
\begin{eqnarray}
r’^2&=&r^2+4c^2-4cr\cos\left(\pi-\theta\right)\\
\\
&=&r^2+4c^2+4cr\cos\theta
\end{eqnarray}
以上の2つの等式からr’を消去すると\(r\)は\(\theta\)を用いて以下のように表せる。
\begin{eqnarray}
r=\frac{a^2-c^2}{a-c\cos\theta}
\end{eqnarray}
また、離心率を用いると以下のようにも表せる。
\begin{eqnarray}
r=\frac{el\left(1-e^2\right)}{1+e\cos\theta}\\
\\
但し、\\
a^2=e^2l^2\\
c^2=e^4l^2
\end{eqnarray}
まとめ
本記事では離心率や定点を用いて二次関数、楕円関数、双曲線関数を導いた。
その内容を以下にまとめる。
- 離心率が作る関数は以下の値によって変わる。
\begin{eqnarray}
0<e<1&楕円関数\\
\\
e=1&二次関数\\
\\
1<e&双曲線関数
\end{eqnarray} - 楕円関数は\(x\)軸に\(a\)倍、\(y\)軸に\(b\)倍する行列を単位円に作用させることで楕円関数であることを確かめられる。
- 双曲線関数は二階微分までを調べることで、その関数の概形を確かめることができる。
- 楕円関数は2つの定点からの距離の和が等しい点が描く軌跡によって描かれる。
- 双曲線関数は2つの定点からの距離の差が等しい点が描く奇跡によって描かれる。
本記事で紹介した楕円関数は、特に物理学では惑星の運動などを調べる時に用いる。
いずれもこれらの3つの関数が離心率の値の範囲によって結びついていることはとても興味深い。