数学A

場合の数を求める 確率を求める準備

和の法則と積の法則

順列を考える前にある事柄がいくつの場合の数が存在するかを考える必要がある。
その為に必要なのは場合の数の和の法則と積の法則である。
和の法則は2つ以上の事柄が同時に起こらない時に使う法則である。
積の法則は2つ以上の事柄が共に起こる時に使う法則である。
例を用いて説明する。

例1)
2つのサイコロを振ってそれぞれのサイコロの目の数の和(足し算)が4の倍数になる時の場合の数を考える。
サイコロの目の数の和が6の倍数になるのはサイコロの目の数の和が4と8と12の場合に分かれる。

まず4になる場合を考えると以下の組み合わせになる。
$$(1,3)(2,2)(3,1)$$
3通り

次に8になる場合は以下の組み合わせになる。
$$(2,6)(3,5)(4,4)(5,3)(6,2)$$
5通り

最後に12になる場合を考えると以下の組み合わせになる。
$$(6,6)$$
1通り

この時、サイコロの目の数の和が4になる場合と8になる場合と12になる場合は同時に起こらない。
よって、和の法則が使われて、それぞれの場合の数を足し合わせる。
つまり、
$$(4になる場合の数)+(8になる場合の数)+(12になる場合の数)=3+5+1=9通り$$
となる。
これが和の法則である。

例2)
次の図の様にX町とY町を繋ぐ道がAとBで2本、Y町とZ町を繋ぐ道がC、D、E、Fで4本ある。
この時、X町からY町を通ってZ町に行く場合の数はいくつあるのかを考える。

まずX町からY町まで行く方法は同時に起こらないので和の法則であるので2通りある。
次にY町からZ町に行く4つの方法も同時に起こらないので和の法則であるので4通りある。

だが、ここで注意するのは、X町からY町に行くAの道とBの道のそれぞれを選択した場合にY町からZ町に行く道C、D、E、Fは同時に起こりうる。
よってここでは積の法則を使う。
つまり、
$$(X町からY町に行く道の場合の数)×(Y町からZ町に行く場合の数)=2×4=8通り$$
となる。
これが積の法則である。

順列とは

順列について説明する。

順列とはモノを順番に並べた時に何通りの場合の数が存在するかを考えることである。
具体的にはn個の異なるものからr個を取り出して並べる時の場合の数は以下で計算できる。
$${}_n \mathrm{P} _r=n(n-1)(n-2)・・・(n-r+1)$$

例を用いて説明する。

例3)
4枚のカードにそれぞれA,B,C,Dと書かれているカードを3枚選び順番に並べる時の場合の数を考える。
この時、並べるカードを左から1枚目、2枚目、3枚目とする。

最初に1枚目に来るカードの場合の数はA,B,C,Dという4通りある。
次に2枚目に来るカードの場合の数は1枚目に使われたカード以外の3枚のカードが来るので3通りある。
最後に3枚目に来るカードの場合の数は1枚目と2枚目に使われたカード以外の2枚のカードが来るので2通りである。
そして、これらの場合は全て同時に起こりうるので積の法則で表せる。
つまり、
$$(1枚目に来るカードの場合の数)×(2枚目に来るカードの場合の数)×(3枚目に来るカードの場合の数)=4×3×2=24通り$$
となる。
これは前述のn個の異なるものからr個を取り出して並べるということに他ならない。
よって、以下のように計算できる。
$${}_4 \mathrm{P} _3=4×3×2=24$$

順列で大事なのは順番を考えるという点である。
次章で説明する組み合わせでは順番を考えない場合の数を考えるので違いを理解することが大事である。

順列とは異なる組み合わせ

前章の順列とは異なり、順番を考えない組み合わせについて考える。

組み合わせとはn個のものからr個を取り出す場合の数を考え、以下の式で計算できる。
$${}_n \mathrm{C} _r=\frac{n(n-1)(n-2)・・・(n-r+1)}{r(r-1)(r-2)・・・3・2・1}$$

例を用いて説明する。

例4)
4枚のカードにそれぞれA,B,C,Dと書かれているカードを3枚選ぶ場合の数を考える。

その前に順番を考えた場合の数を考えると例3の問になるので24通りあることになる。
ではA,B,Cのカードを並べた時は何通りあるのかを考えると、3枚のカードから3枚のカードを取り出して並べるということなので
$${}_3 \mathrm{P} _3=6通り$$
となる。

ここで、本問に戻ると、ここでの順番を考えた6通りは全て同じA,B,Cの組み合わせである。
また、他のカードの組み合わせでも同じ6通りが存在する。
つまり、組み合わせは順列の6通りが全て1通りのなる。
つまり、組み合わせの数は以下になる。
$$\frac{(4枚の中から3枚のカードを選んだ順列の場合の数)}{3枚選んだカードの順列の数}=\frac{24}{6}=4$$
これを前述の式で考えると
$${}_4 \mathrm{C} _3=\frac{4×3×2}{3×2×1}=4通り$$
となる。

様々な順列

円順列

円順列とは1列に並べる順列ではなく、円を描くように並べる順列のことである。
普通の順列と何が違うかと言うと、円を描くように並べた順列を回転させると他の場合と同じになる時がある。
n個のものを円を描くように並べる時の場合の数は以下の式で考えられる。
$$(n-1)!$$
例を用いて説明する。

例5)
以下の図の様に円を描くように4つの場所にA,B,C,Dのカードを置く時の場合の数を考える。
まず左上にAのカードを置くとする。
次に右上の場所にカードを置くとする。
この時の場合の数は左上に置いたAのカードを除いた3つのカードを置く場合の数があるので3通りある。
最後に右下の場所にカードを置く場合の数は残りの2枚のカードを置く場合なので2通りである。
左下に置くカードは残り1枚なので自動的に決まる。
そして、これらの事柄は同時に起こりうるので積の法則を使う。
つまり、円を描くように4枚のカードを置く場合の数は
$$3×2=6通り$$
となる。

これは、前述の式で考えると以下の様に考えられる。
$$(4-1)!=3!=6通り$$

重複順列

重複順列とは同じものを何度も使って良い場合の順列について考える場合の数である。
具体的には異なるn個のものから繰り返し使う事を良いとしてr個を取り出して並べた時の順列は以下の式で考えられる。
$$n^r$$
例を用いて説明する。

例6)
4枚のカードにそれぞれA,B,C,Dと書かれているカードを繰り返し使って良いものとして3枚選び並べた時の場合の数を考える。
それぞれ選びだしたカードを1枚目、2枚目、3枚目とする。
この時1枚目にも2枚目にも3枚目にもA,B,C,Dのカードが等しく並ぶ可能性があるのでそれぞれ4通りある。
つまり、場合の数は以下になる。
$$4×4×4=64通り$$

これは、前述の式で考えると以下になる。
$$4^3=64通り$$

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